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2022.08.19 成年後見人の業務

1. はじめに

超高齢化の進展によって判断能力が低下する人が増加し、今後、成年後見制度を活用するケースが増えてくると予想されます。その際、家庭裁判所が専門職による後見人を選任するケースのほか、私たちが親族後見人を希望して申立てて選任される可能性もあります。今回は、いずれの場合にも必要な後見人の業務についてみていきます。

2. 後見人に選任されたら

後見人選任の審判が確定して後見人がその職に就任した後は、1ヵ月以内に財産目録、後見事務計画書、収支予定表の3つの書類を作成し、家庭裁判所に提出します。後見人がその業務を開始すると、これらの書類をもとに後見人の職務に関するチェックが行われます。後見人は裁判所や裁判所から選任された後見監督人に対して定期的に後見事務の報告を行い、後見人が適切にその職務を果たしているかどうかを確認します。

そのため、後見人は日頃から自分が行った職務の内容を記録し、金銭を支出した年月日・内容を記録しておきます。これらを裏付ける領収証や請求書をまとめ、求めに応じて速やかに報告できる体制を整備しておきましょう。

3. 後見人の財産から支出できるもの

被後見人の財産から支出できるものは、被後見人自身の日常の生活費・税金、被後見人の療養看護のための費用(被後見自身の医療費・施設の費用など)、被後見人の財産を管理するための費用に限定されています。

金額が大きなものとしてリフォーム費用があります。被後見人の医療・介護を目的としたバリアフリー・浴室・トイレなどのリフォーム費用は、被後見人の財産から支出することができます。支出金額が被後見人の財産と比べて多額になる場合には、家庭裁判所から認められない場合もあります。このような大きな金額の支出を伴う場合は、後見事務報告書に明記し、契約書や領収証を添付して、後見監督の報告を家庭裁判所に行います。

4. 金融商品の管理の方法

預貯金の名義は、被後見人の名義、または「(被後見人名)+成年後見人(後見人名)」とします。後見人個人や第三者の名義にしてはいけません。被後見人の財産管理で活用する金融商品については、元本の安全性が高い預貯金等を基本とし、株式、投資信託、先物取引などによる運用は避けなければなりません。

投資信託等の金融商品の売買を行う場合は、被後見人に損害を与えないよう、当該財産を処分する必要性、他に安全な方法がないかどうかなどを検討して慎重に行います。この点も家庭裁判所への報告内容となっています。

5. 居住用財産の処分

被後見人が老人ホームに入所するなどの際に居住用財産を処分する必要がある場合は、事前に家庭裁判所に居住用不動産の処分許可の申立てを行って許可を得る必要があります。この処分には売却のほか、賃貸、賃貸借契約の解除、使用貸借、家屋の取り壊し等も含まれます。

投資信託等の金融商品の売買を行う場合は、被後見人に損害を与えないよう、当該財産を処分する必要性、他に安全な方法がないかどうかなどを検討して慎重に行います。この点も家庭裁判所への報告内容となっています。

6. 報酬

後見人は、その事務の内容に応じて、被後見人の財産の中から報酬を受けることができます。その場合、家庭裁判所に対して報酬付与の申立てを行い、家庭裁判所は、後見人の事務内容と従事した期間・被後見人の財産の額や内容などを考慮して、報酬を付与することが妥当かどうかやその額について審判を下すことにより決定します。

7. 後見人の解任・辞任

後見人に不正な行為、後見の任務に適さない事由があるときは、被後見人、被後見人の親族、後見監督人、検察官の請求または職権により、家庭裁判所が後見人を解任することがあります。ケースによっては民事上または刑事上の責任を問われることもあります。

後見人の辞任については、被後見人の利益を害することがないよう、後見人の病気や職業上の理由による転居など正当な事由がある場合に限られ、家庭裁判所に申立てを行って許可を得る必要があります。辞任の申立てをした後見人は、遅滞なく後任の後見人選任の申立てを行い、引継書を作成して後任の後見人に引き継ぎます。

8. さいごに~後見業務の終了~

家庭裁判所に、被後見人の死亡事実が記載された戸籍謄本または死亡診断書を添付して、被後見人が死亡したことを連絡します。東京法務局の後見登録課に終了登記の申請を行います。被後見人の死亡後2ヵ月以内に、管理していた財産の残高を計算します。後見人が相続人でない場合は、財産目録を作成した上で管理していた財産を被後見人の相続人等に引き継ぎます。後見事務終了報告書を作成して家庭裁判所に報告し、これで後見業務の終了です。

このように、後見人に選任されると様々な業務があります。法務局や市区町村の相談窓口など、後見業務について相談できる窓口を確認しておきましょう。

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