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2021.04.20 最新の「時間医学」を取り入れた不眠の改善法

近年注目されている医学分野、「時間医学」をご存知でしょうか。
人体には時間の変化に応じた周期的なリズムが備わっています。その代表が、朝は目覚めて夜は眠くなるというリズム。そのほかにも、血圧が高くなる時間帯や深部体温(内臓の温度)が高くなる時間帯等も、一定の周期性があることがわかっています。こうした周期性を活かして、不調の改善や予防に役立てる医学が時間医学です。
時間医学が特に重視される分野が、不眠治療。時間医学の第一人者である大塚邦明さんによれば、睡眠に関わる体の周期性の一例として次のようなものがあるといいます。

  1. 起床後に強い光が目に入れば、その15時間後に深い眠りが訪れる
  2. 起床12~15時間後は絶対に眠れない
  3. 眠気は12時間ごとに強くなる(午前2時と午後2時は眠気が強い)
  4. 睡眠を促すホルモン「メラトニン」は、3.5日周期で分泌量が変化している 

こうした周期性を活かした時間医学にもとづく不眠の改善方法を、大塚さんに教えてもらいました。その方法は次のふたつです。

(1) 自分に必要な睡眠時間を確認する

世の中にはショートスリーパーもいればロングスリーパーもいるように、必要な睡眠時間はその人によって異なります。そこで自分自身にはどれくらいの睡眠時間が必要なのか、確認してみましょう。まずは 10日間続けて、睡眠の記録をつけます。毎日の寝た時間と起きた時間、途中で目覚めた場合は目覚めた時間、昼寝した場合はその時間も記録しておきます。これを10日間続けて、10日間の睡眠時間を合計しましょう。昼寝の時間も必ず加えます。そして、その合計睡眠時間を10で割った数が、1日当たりに必要とする睡眠時間となります。

(2) 1週間に1日だけ規則正しい生活を送る

睡眠ホルモンのメラトニンは3.5日周期の分泌リズムがあるため、3.5日×2=1週間の単位で睡眠を管理することもできます。そこで1週間に1日だけ、できればきまった曜日に規則正しい1日を送るようにすると、睡眠の質が向上しやすくなります。規則正しい1日の具体的な過ごし方について、最初に起きる時間を決めましょう。時間医学では夜11時には就寝するのが理想的なので、そこから(1)で計算した睡眠時間を足して起きる時間を設定します。例えば(1)が7.5時間の場合、午後11時から7.5時間を足した午前6時半を起床時間とします。三食をきちんととることも大切です。朝食は起床1時間以内にとり、昼食は正午、夕食は午後6時にとりましょう。朝食、昼食、夕食のボリュームの比率は「3:3:4」となるのが理想です。
朝食後は軽くウォーキングして太陽の光を浴びると、心身がすっきりと目覚めます。より体を激しく動かす運動は、1日のうちで最も体を鍛える効果が高まる午後5~9時の間に行うといいでしょう。午後9時以降はマッサージやアロマ等でリラックスをして、できるだけテレビやパソコン、スマホを見ないようにして脳を休めます。そして午後11時にはベッドに入りましょう。

このようにして1週間に1日規則正しい生活を送るだけで、睡眠の質が上がり、不眠が改善されやすくなるといいます。睡眠の質が上がれば睡眠時の疲労回復効果も高くなり、老化防止にもつながることでしょう。新年度からの健康習慣として、ぜひ取り入れてみてください。

監修者 大塚邦明さん
1948年生まれ。東京女子医科大学名誉教授。ミネソタ大学ハルバーグ時間医学研究センター特任研究員。
東京女子医科大学特定関連施設戸塚ロイヤルクリニック所長。日本自律神経学会会長、日本時間生物学会会長、日本循環器心身医学会会長、世界時間生物学会会長等の要職を歴任。日本における時間医学の第一人者。
近著に『最高のパフォーマンスを引き出す習慣術』(フォレスト出版)、『40代以上の女性がやってはいけないこと 体内時計を味方につけて健康になる 』(春秋社)、『時間医学とこころの時計 心身ともに老化を遅らせ、健康に導く』(清流出版)等がある。

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